木生シダの魅力や種類、育て方

木生シダ
本記事の内容
  • 木みたいになるシダ(木生シダ)の魅力
  • 木生シダの育て方と種類
木生シダとは、長い年月をかけて幹をつくり、木のような姿になるシダ植物のこと。
「木性シダ」と書く場合もある。

幹の上に雄大な葉を広げる木生シダは恐竜が闊歩しているような 太古の時代を彷彿とさせます。さらに木生シダにもたくさんの種類があって個性豊かです。

私も木生シダが好きで、たくさんの木生シダを育てています。

木生シダの魅力と育て方、種類について語ってみます。

木生シダの種類

木生シダの種類は個性豊かでたくさんあります。 私が育てている木生シダを紹介していきます。

少しずつ入手しているうちに、膨大な数になってしまいました。
水やりや気温管理など、手はかかりますがまとめて管理しているので、 数が多くても作業量としてはあまり変わりません。

ヘゴ科の木生シダ

■ヒカゲヘゴ
Cyathea lepifera


木生シダの代表種。単に「ヘゴ」というと、ヒカゲヘゴのことを差すことが多い。日陰に育つからではなく、日陰を作るからヒカゲヘゴという。
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■ヘゴ
Cyathea spinulosa


単に「ヘゴ」というとヒカゲヘゴのことを差すことが多いが、ヒカゲヘゴによく似た別種の「ヘゴ」という種もあるのでややこしい。幹に葉柄根元の鱗片が残り、トゲトゲしているのが特徴。
ヘゴのページ⇒

■クロヘゴ
Cyathea podophylla


小羽片が深く切れ込まず、波状か全縁になっている葉が特徴。
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■チャボヘゴ
Cyathea metteniana


ヘゴの仲間では珍しく幹を作らない種だが、小さな幹を作ることもある。
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タカワラビ科の木生シダ

■ディクソニア・アンタルクティカ
Dicksonia antarctica


オーストラリアの涼しい地方原産で、寒さにもとても強く、-5℃くらいまで耐えられる。日本でも、関東以西の暖かい地域でなら地植えできる強健な木生シダ。 生長はかなり遅いが、とても大きく育つので、庭に植えると存在感があり大きなアクセントになる。
ディクソニア・アンタルクティカのページ⇒

シシガシラ科の木生シダ

■ブレクナム・ギッバム
Blechnum gibbum


ロマリア・ギバや、シルバーレディーとも呼ばれる。ソテツのような形の葉をつける。 木生シダの中では生長が速い。
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■ブレクナム・ギッバム・ドワーフ
Blechnum gibbum dwarf


ブレクナム・ギッバムの矮小種。葉がとても小さく、小さなヤシの木のようなシルエットになる。
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■ブレクナム・ブラジリエンセ
Blechnum brasiliense


ボルケーノとも呼ばれるとおり、新芽が鮮やかな赤~ピンクになる。
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■ヒリュウシダ
Blechnum orientale


沖縄にはたくさん生えている、大型の種。葉の長さが2mにもなることがある。
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■ソテツワラビ
Brainea insignis


幹が独特でねじれるように生長する。ソテツにそっくりでユニークな木生シダ。
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■ブレクナム・オブツサタム var. オブツサタム
ブレクナム・オブツサタム ニュウカレドニア原産で、 ブレクナム・オブツサタム var. オブツサタムや、 ブレクナム・オブツサタム var. フランシーの2種が知られ、 人気で高価。
ブレクナム・オブツサタム var. オブツサタムは常湿で育成可能だが、 水切れに弱いので腰水で育てる。

■ブレクナム・オブツサタムvar. フランシー


ブレクナム・オブツサタム var. フランシーは水草として、水中でも育てられる唯一の木生シダ。ただし、水中で育てるのは難しい。密閉環境で水上で育てると割と簡単。
ブレクナム・オブツサタム var. フランシーBタイプのページ⇒

イワデンダ科の木生シダ

■クワレシダ
Diplazium esculentum


九州以南、東南アジア、ハワイなどに生えており、名前のとおり食用になる。
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■アマミシダ
Diplazium amamianum


奄美大島固有の木生シダ。
アマミシダのページ⇒

ゼンマイ科の木生シダ

■シロヤマゼンマイ
Osmunda banksiifolia


ゼンマイ科には珍しく、常緑、大型で根茎が立ち上がり幹になる。鹿児島や沖縄に生えている。
シロヤマゼンマイのページ⇒

その他の仲間

木生シダのように大きな幹は作らないが、幹が立ち上がって 木生シダのようになることがあるシダ。

■オオタニワタリ(チャセンシダ科)
Asplenium antiquum Makino


肉厚の単葉が特徴のチャセンシダ科のシダで、岩や木の幹に着生し、長い年月をかけて幹を作ることもある。
オオタニワタリのページ⇒

■リュウビンタイ(リュウビンタイ科)
Angiopteris lygodiifolia


幹は立ち上がらないが、木質の瘤のような大きな根瘤を作り、木生シダのような太古の雰囲気を醸し出してくれる。
リュウビンタイのページ⇒

■カツモウイノデ(オシダ科)
Ctenitis subglandulosa


キンモウコという名前で購入したが、実はカツモウイノデという別種だった。 幹が茶色い毛でおおわれる。
カツモウイノデのページ⇒

■クサソテツ(コゴミ)(オシダ科)
Matteuccia struthiopteris


日本全国に生えている落葉性のシダで、春の新芽が食用になる。 根茎が大きくなり幹のように生長することがある。
クサソテツのページ⇒

■ヤブソテツ(オシダ科)
Cyrtomium var. intermedium Tagawa


幅が広い葉が特徴的なヤブソテツ。オニヤブソテツなどはとても乾燥に強く、海岸の日向にも生えている。私が育てているミヤコヤブソテツは、長い年月をかけて根が幹のようになった。
ミヤコヤブソテツのページ⇒

木生シダの育て方

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木生シダは、沖縄や東南アジアなど温暖で湿潤な地域が原産地であることが多く、 日本の環境で育てるには結構手間がかかる。

気温と湿度の管理が重要なので、温度計、湿度計はあった方がいい。

ただ、オーストラリアの高山地帯など涼しい地域が原産の、寒さに強い丈夫な木生シダもある。

とにかく水切れに弱い

木生シダは、とにかく水切れに弱い。

乾燥に強いシダ植物もあるが、木生シダは全般的に乾燥に弱い。

私は一日2回、霧吹きと水やりを欠かさない。
それでもデリケートな種類は水切れで枯れてしまう。

わずか1日でも水切れを忘れるとすぐに葉がシオシオになる。 シオシオになってもすぐに水をあげれば復活するが、復活しないことも多い。

一度しおれて、水を上げても元に戻らない枝や葉は、枯れるしかないので切り取る。

鉢皿にたまった水は定期的に捨てないと、根腐れを起こし株全体が枯れてしまう。

直射日光は厳禁

シダ植物のため、直射日光は厳禁。 葉焼けを起こしやすい。

一部、ヒカゲヘゴなどは大きな株であれば強い日差しにも耐えるが、 日差しを避ける方が無難。

やわらかい日ざしが入る場所に置く。
少々の日光不足では枯れないが、 暗い室内であれば植物用ライトで日光を代用する。

寒さにも弱い

ほとんどの木生シダは、寒さにもとても弱い。

気温が15℃を下回るようであれば、室内に取り込み暖房器具で保温する。

特に季節の変わり目には、温度計をこまめにチェックする必要がある。

夏の蒸れにも弱い

意外と夏のじめじめした蒸れで枯れてしまうこともある。

適度に窓を開ける、扇風機を使うなどで空気循環し、 真夏日であまりに暑い場合はクーラーなどで気温を下げてあげる。

木生シダの魅力

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太古の雰囲気を感じる独特のシルエット

木生シダの魅力は、なんといってもその独特なシルエット。

恐竜が闊歩しているような太古の雰囲気を感じさせる。

たくさんの木生シダに囲まれていると、太古の森にいるような気持になってくる。

特にシダ植物の緑には、癒しの効果があるらしい。

大きく育てるには長い年月が必要で、愛着心が湧く

木生シダは、一年に1~3cmほどしか大きくならず、 小さい株から大きくするにはとても長い年月がかかる。

その分、長年かけて育てて大きくなってきた木生シダには強い愛着心が湧く。

丈夫で地植えできる種類もある。

木生シダは暖かい環境で育つ種類が多いため、寒さに弱く日本の屋外では地植えできないが、寒さに強く、関東以西では地植えできる丈夫な種類もある。

ディクソニア・アンタルクティカという木生シダで、とても大きくなり、 雄大な姿を見せてくれる。

庭に一つあると、アクセントとなりシンボル的な存在になる。

コメント

  1. 長森 より:

    突然のコメント誠に失礼致します。
    ※ヒリュウシダに関する情報が少なく、非常に助かっております

    3週間ほど前に全長1.5mほどの木生ヒリュウシダを購入したのですが、見る見る枯れてきてしまっており‥
    ※ハッパが昆布みたいにシオシオになっているのと、クルクルにカールしてきており‥

    置き場所は直射日光の当たらない大きな窓側となっており、1日2回の水やり、葉っぱへの霧吹き、根腐れしないように溜まった水の破棄、等は気にしてやっているのですが、急激に枯れてきている原因がわからないため、対処法を色々と調べており‥
    ※残すは気温(寒い?)か、土(栄養がない?)か、湿度(足らない?)かくらいしか思い浮かばず

    一度購入元のオザキフラワーパークへも電話でも聞いてみたのですが、湿気の多い生息地からの植物のためこまめな水やりと、湿度、風通しの良ささえ気にしてたら大丈夫って教えていただいたのですが、それでもダメで‥

    我が家は少し肌寒い可能性があるのですが、それが原因の可能性はあるのかな‥と考えていたり、購入直後は根腐れを気にしすぎて4日ほど水をあげなかったことが原因?と思い詰めたり(その後このコラムを見てこまめな水やりをするようにしてます)してます‥

    急なコメントで申し訳ないのですが、思いあたる原因等があればご教示いただきたく‥

    何卒よろしくお願いします。

    • growskybirth より:

      コメントありがとうございます。
      1.5mのヒリュウシダとはかなり立派な株ですね!

      ヒリュウシダは私も失敗したことがあります。
      それまで調子がよかったのに、急に葉がしなびたり乾燥して固くなったりしてしまい、そのまま全部の葉が落ちてしまいました。
      今は2株育てているうち、1株同じように葉が落ちかけましたが、持ち直しました。
      その時は屋外の風通しがよすぎて幹が乾燥してしまう場所に置いていたことが原因で、
      室内であまり風通しがよすぎない場所に置いたら復活して新しい芽が出てきました。

      育てられている環境はかなり気を使われていて、葉への霧吹きや水やりの頻度も問題ないと思います。
      耐陰性もあるので光量も急激な枯れの原因ではないと思います。
      栄養もそれほど欲しがらない植物なので土はあまり関係ない気がします。
      また、この季節なので気温が大きな原因とは思いませんが、10℃を下回ったり、昼と夜の気温差が激しいと調子が悪くなります。

      ヒリュウシダは湿度と水を好むので、風通しが良すぎない場所で、特に幹が乾燥しないように、水やりは幹をしっかり濡らすようにされたらいかがでしょうか。
      もちろん根腐れしないように、これまで通り水がたまらないようにする必要があります。
      後、希釈したメネデールで水やりしたり、霧吹きしたりすると復活が早いです。

      また、どうしても環境変化により調子を崩すことはよくあることで、一度シオシオになったシダの葉はそのまま枯れてしまいますが、
      葉が一度全部落ちても、環境に順応して新しい芽が出てくることもよくあります。
      経験上、幹が大きい株は、小さい株よりも復活する力が強いように思います。

      すごく丁寧に育てていらっしゃるなと感心しました。
      私も試行錯誤しながら育てているのでアドバイスにならなかったら申し訳ありません。
      諦めずに頑張ってください!

  2. 長森 より:

    早々のご返信有難う御座います‥!
    こんなにもご丁寧にアドバイスいただき大変感謝してます‥!

    現在ヒリュウシダは窓際に置いており、基本的に窓は開けているので、少し風通しが良すぎるのかもしれないですね‥
    一度置き場所を玄関へ移動させてみます!

    また、今のところは幹に対して水をあげると言うよりは、土に対して水をあげていたので、そこも是非参考にさせていただきます!
    ※やはり低気温には弱いのですね‥!

    一目惚れしたヒリュウシダだったので、あまりにも急激にシオシオになってる姿を見てすごく申し訳なく思っていました‥
    いただいたアドバイスを元に諦めずに復活させたいと思います!
    ※復活した際には改めてコメントさせい頂きます